ひもんや俳壇平成二十五年度
2014年1月号
平成二十五年度
ひもんや俳壇賞
黒澤三主寿 選
※「ミモザ会」は特別作品として選外とさせていただきました
大賞
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本日休診先生のサングラス柴崎 英子先生はいつもお忙しい。地域の健康を預かっているからである。先生はまた地域の名士でもあるから、休診の日のお出掛けにはサングラスが不可欠なのかも知れない。別人のごとくにお似合いですよ。たよりにしています。先生。
次席
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ジャズの音流るる夜のアマリリス武井 康子若々しい句である。そして何よりモダン。銀座でしょうか。それとも新宿。混み合う夜の喫茶店にはアマリリスの花がよく似合います。
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連休のあるやなしやと初暦苅野 玲子初暦を手にして先ず連休のあるなしを確かめたのである。今年は何処へ行こうか。家族旅行の夢がふくらみます。新鮮な発想が共感を呼ぶ。
ひもんや診療所・院長賞
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初夢のさだかならぬを惜しみけり久保田光江とても素晴らしい夢を見ていたような・・・でもよく思い出せない。一寸残念な、こんな経験はよくあります。まして初夢ならばなおのこと。いったいどんな初夢だったのでしょう。なんだか気になります。
秀作
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こどもたちおちばのおみせひらいてるきりいのぞみ
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冬晴や威風堂々解脱門木村由貴子
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馬の足跣の目立つ村芝居渡辺 幸江
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盆詣兄に供へし一句かな川部 義明
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群衆の一人ぞ我も酉の市佐々木 弘
佳作
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白銀の富士仰ぎ見る三ヶ日川喜田秀雄
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毎日の椅子取りごっこ椋鳥飽きず原 良
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節分の豆まく夫の声小さき富所 敬子
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地の小人玻璃の階積む霜柱戸田 徳子
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松の内すぎてやさしき粥の味矢代アリサ
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冴返る空に鐘塔屹立す三浦 尚子
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白梅の香りほのかに杜の径滝口 智子
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生きのびし戸惑ひもあり夏の雲村田エイ子
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公園でさくらふぶきをキャッチする森おかゆう子
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町中が雛で埋まる町おこし安藤 虎雄
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いつまでも生きる気がする若葉風小澤孝ん子
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十薬のお茶となる日を軒先に飯田久美子
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積む落葉ざくざく蹴りて登校す廣門登喜子
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年の豆数へて渡す小さな手森崎 富貴
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駆ける子に母追ひつけず春の風吉田 新子
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赤とんぼ朝の運河を染めにけり仲島 信
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思ひきり紫陽花を剪り秋を待つ藤田 静枝
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巳の年は八回目なる年男山形 定房
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願ひごとあまたかかへて伊勢参り千葉ゆり子
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楼門の朱を引き立てて若楓安達久美子
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凌霄の花房ゆれる曲り角苅野 節子
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旧館を覆ひ尽して蔦紅葉清水 悠子
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返事すぐ書きたき便り秋の夜半畑山 則子
一般投句
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立冬の空青くして富士白き富所 敬子
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また同じ話聞きゐる小春かな戸田 徳子
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クリスマスイルミネーション夢の街滝口 智子
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ボールけり坂くねくねと小鳥来る桐井 希海
向原喜楽会・不動会
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秋日和水琴窟を楽しめり安藤 虎雄
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赤い羽根つけてニュースを読み上げる小澤孝ん子
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秋日和お地蔵さまを磨く列柴崎 英子
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赤い羽根紳士も子らも胸張って武井 康子
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蘊蓄を聞きつゝ初の茸狩飯田久美子
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秋日和ゆっくりと押す車椅子久保田光江
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寝るにはあまりにも惜し今日の月鈴木恵美子
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雨だれに頷き通し秋海棠笹島美和子
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八十路坂越えても元気紅葉狩廣門登喜子
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一人聴く補聴器越しの虫の声森崎 富貴
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新米に味噌汁熱く朝餉かな吉田 新子
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庭隅に見知らぬ小鳥啄める川部 義明
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鴫立つや運河にネオン映り初む仲島 信
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柿を誉め柿もてなさる大和みち藤田 静枝
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一群の小鳥一樹に納まりぬ黒澤三主寿
竹の子会
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総理にも秘書の求めし赤い羽根苅野 玲子
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夫の彫る観音像や秋の風渡辺 幸江
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まてば椎廻らなくても可愛らし千葉ゆり子
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ぐい呑みを持つ指先に酢橘の香安達久美子
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初りんご頬赤らめて店先に苅野 節子
わかみどり会
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末枯の中に何やら草の色清水 悠子
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木の股の干大根も象牙色畑山 則子
ミモザ会
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つくばひにひと葉を込めて初氷佐々木巴里
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山茶花の散りゆくことに未練なく三国 紀子
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弾まざること美しく加賀手毬石橋万喜子