ひもんや俳壇平成二十九年度
2018年1月号
平成二十九年度
ひもんや俳壇賞
黒澤三主寿 選
※「ミモザ会」は特別作品として選外とさせていただきました
大賞
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ぬくもりの程度でいいの春暖炉苅野 玲子ホテルのロビー、或いは御自宅のリビングかも知れない。会話の中から生まれたような句に、ほんとにそうですね、と共感。
次席
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パラソルを高く掲げて遠会釈畑山 則子たぶん会う約束があったのでしょう。情景が目に見えるようです。駆け寄って楽しい一日のはじまりです。
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結び目のゆるみ十薬干し上がる吉田 新子どくだみを束ねて干したのですね。からからになって取り込む時、結び目のゆるみに気が付いての一句。
ひもんや診療所・院長賞
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空を裂く金のナイフやはたた神戸上 和「はたた神」は、はたたく雷のこと。あの天を引き裂くようなはげしい稲妻を、「金のナイフ」と詠まれたことに納得の句。
秀作
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母の日や九泉までと香を焚く安藤 虎雄
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実を拾ひこの街路樹を橡と知る鈴木恵美子
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二代目を連れて住職棚経に川部 義明
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囀りに音階ありや耳すます市川須美子
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たんぽぽの一番花を見つけた日苅野 節子
佳作
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吉報は雛の節句に届きけり富所 敬子
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この寺にナンジャモンジャの木の茂り滝口 智子
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山里の誰に送るやつるし柿出口 盈子
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みんみーんとひとり占めして木立中小野すみ子
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抽斗に旅の思い出桜貝小針カツ子
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わが街に入れば外すサングラス仲島 信
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十薬の匂ひ振り切り鎌入れし藤田 静枝
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一輪の牡丹大事とリビングに譲原 節子
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冬空に煙たなびく泉岳寺中村 常子
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漱石の全集積んで冬籠渡辺 幸江
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ひらがなの苗札並ぶ保育園安達久美子
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湯気の中話のはづむおでん鍋千葉ゆり子