ひもんや俳壇令和三年度
2022年1月号
令和三年度
ひもんや俳壇賞
黒澤三主寿 選
※「ミモザ会」は特別作品として選外とさせていただきました
大賞
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たんぽぽの綿を吹きふき登校す畑山 則子よく見る光景です。男の子でしょうか。一読すればその状態が、ありありと目に浮かびます。素直にすらりと見たままを一句としたところが成功しています。まっ白なたんぽぽの絮が風に乗って飛んでゆく朝の一刻。さあ、先生がお待ちです。
次席
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七五三晴着の写真だけ届く鈴木恵美子コロナ禍は一体何時終るのでしょう。その日が待ち遠しいこの頃です。子の成長を願い祝う七五三、着飾って見て貰いたい。また見たい。それが叶わずせめて写真だけと送られて来たのでしょう。残念ですが、それを見て話がはずんだことと思います。
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紙コップいっぱいとなる桜の実千葉ゆり子花を終えた桜は実となるものもあります。ちいさな粒を拾い集めて遊んでいる子供たち。公園でしょうか。ジュースを飲んで空になった紙コップにいっぱい。ずいぶん拾いましたね。元気な様子がよく出ています。
ひもんや診療所・院長賞
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籐椅子に父の煙草の焦がし跡中島 信籐椅子に掛けて見つけた煙草の焦がし跡。この椅子にゆったりと寛いでおられたお父様のことを懐かしんでおられるのが伝わってくる句。
秀作
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青芒仙石原に風走る出口 盈子
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電線の音符のごとき寒雀戸上 和
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新緑の窓に休める術後の目辰馬 京子
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園児らはみんな風の子鯉幟木村 遊風
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大きめの制服の子らのどけしや安達久美子
佳作
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初蝉のひと声にしてあと途切れ富所 敬子
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満開の枝垂れ桜に招かれて滝口 智子
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こほろぎの絶え間なき声夜も更けて村上 允子
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行く秋のひかり求めて夕鴉佐藤加代子
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春近し足取り軽くペダル踏む小針カツ子
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七五三あかんべえしてポーズとる笛吹 敏子
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凍て渓の中よりかすか水の音苅野 玲子
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しんがりの羊は孫よ聖夜劇渡辺 幸江
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苗札を読み返す子ら学校園苅野 節子