ひもんや俳壇

一般投句

• 桔梗のふっくらつぼみ真綿のやう

  村上　允子
• 読めぬ書の前で戸惑ふ文化の日

  畑山　則子
• 明月や出しそびれたる封書有り

  戸上　和
• 山茶花や江ノ電軒をかすめたり

  長島　ちよ
• ビル街の秋の夕日を見失ふ

  佐藤加代子
• 時雨忌や拙き我が句推敲し

  木村　遊風

向原喜楽会

• 終戦日あの十五歳忘られず

  鈴木恵美子
• 大空に星の瞬き夕涼み

  山崎　浦子
• さよならも言はず手花火ポトリ落つ

  津川　志津
• 熱帯夜夢を見たよな見ないよな

  藤原和歌子
• 朝顔をかぞへて今日のはじまりぬ

  笹島美和子
• 秋の蝉庭のいづこかしきり鳴く

  吉田　新子

竹の子会

• 川風に川音に酔ひ床涼み

  苅野　玲子
• 草原の露に濡れつつ犬散歩

  渡辺　幸江
• 灯台を見下ろす丘の半夏生

  千葉ゆり子
• 全十巻粋な結末露涼し

  安達久美子
• 漆黒の森より揚がる遠花火

  苅野　節子

ミモザ会

• 散る銀杏見つつ来ぬ友待ちつづけ

  三国　紀子
• 頬杖の指のつめたき白秋忌

  石橋万喜子

黒澤三主寿

• 峠路を一気に下る木の葉雨

  黒澤三主寿