2017年12月号掲載
!
2020年に向けて、ぜひ禁煙を
東京オリンピックに向けて、喫煙が制限される場所が増えています。また、たばこへの増税も検討されています。
ぜひとも、これを機に禁煙しましょう。
当院では禁煙外来を実施しています
禁煙補助薬「チャンピックス」を服用しながら、12週間のスケジュールで禁煙を実現します。
喫煙は、心臓疾患の重大なリスク因子であり、肺がんをはじめとする各種がんの重大な原因の一つです。
喫煙をやめることで、心臓疾患のリスクや、肺がんをはじめとするがんのリスクが下がり、余命が伸びることがわかっています。
このたび、禁煙の効果を具体的に示すデータが、Cancer epidemiology誌オンライン版(2017年11月2日号)に報告されましたので、ご紹介します。
日本の喫煙者のがんリスク、禁煙何年で喫煙歴ゼロと同じに?
日本人のがん罹患リスクは、男性で21年以上、女性で11年以上禁煙すれば、喫煙歴のない人と同レベルまで低下することが、東京大学の齋藤 英子氏らによる研究で明らかになった。男性では、20 pack-year※以上のヘビースモーカーにおいても同様の結果であるという。早いうちに禁煙することが、がん予防への近道であると考えられる。
※pack-year:生涯喫煙量の単位。1日に何箱のタバコを何年間吸い続けたかをかけ合わせて計算する。1 pack-yearは、1日1箱を1年、または2箱を半年吸った量に相当。
東アジアは世界有数のタバコ普及地域であるが、喫煙や禁煙ががんに及ぼす影響についての前向き研究はほとんどない。そこで著者らは、日本における8つの前向きコホート研究(参加者32,000人以上)のデータを用いて、全がんおよび喫煙関連がん罹患リスクに対する禁煙の影響を評価した。
主な結果は以下のとおり。
- 潜在的な交絡因子の調整後、ベースライン以前に21年間以上禁煙していた男性の全がん罹患リスクは、喫煙歴のない人と同じレベルまで低下することが示された(ハザード比:1.01、95%CI:0.91~1.11)。
- 20 pack-year以上のヘビースモーカーであった男性でも、21年間以上禁煙した場合、全がん罹患リスクが低下することが示された(ハザード比:1.06、95%CI: 0.92~1.23)。
- ベースライン以前に11年間以上禁煙していた女性の全がん罹患リスクは、喫煙歴のない人と変わらなかった(ハザード比:0.96、95%CI:0.74~1.23)