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2021年09月号掲載
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コーヒーや野菜の摂取でCOVID-19リスクが低下する?
HealthDay News 2021年7月21日より

科学的にもコーヒー摂取にさまざまな健康上のメリットが存在する可能性がこれまでに指摘されているが、最近新たに、コーヒーが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から身を守ってくれる可能性を示すデータが報告された。

この研究は、米ノースウェスタン大学のMarilyn Cornelis氏らによって行われ、結果の詳細は「Nutrients」に6月20日掲載された。コーヒーに加えて、野菜にもCOVID-19感染リスクを低下させる可能性があり、それとは反対に加工肉は、リスクを高める可能性があるという。果物や茶、赤肉など、ほかの食品に関しては、COVID-19リスクへの影響は認められなかった。

Cornelis氏はこの研究の背景を、「COVID-19は肺炎などと同じような感染症の一種であり、感染症と戦うには免疫の働きが重要であることが分かっている。そして、食品の中には免疫に影響を与える成分を含むものがあることも知られている。そこでわれわれはCOVID-19のリスクが食品によりどのように変化するかを知りたいと考えた」と語っている。同氏によると、これまでのCOVID-19のリスクに関する研究は、糖尿病などの基礎疾患の影響に着目したものが多く、修正可能な生活習慣との関連は十分明らかになっていなかったという。

Cornelis氏らはこの研究に、英国の一般住民の医療関連情報が登録されている「UKバイオバンク」のデータを用い、登録者の2006~2010年の食習慣と2020年3~11月のCOVID-19罹患との関連を検討した。調査対象とした食品は、これまでの研究からヒトまたは動物の免疫系に影響を及ぼす可能性が示唆されている食品で、解析対象者は新型コロナウイルスの検査を受けた3万7,988人。この対象者のうち約17%が陽性だった。

解析の結果、COVID-19感染リスクに対する若干のメリットがある可能性のある食品が、いくつか見つかった。例えば、1日にコーヒーを1杯以上飲む人では、1日1杯未満の人に比べてCOVID-19感染リスクが10%低かった。また、生野菜や調理済みの野菜(芋類以外)の摂取量が第3四分位群以上(上位50%)は、第1四分位群(下位25%)に比較し感染リスクが低かった。

このような食事に関連する因子がCOVID-19のリスクに影響する理由は、今のところ不明だ。また、この研究では因果関係が証明できたわけではない点も認識しておく必要がある。

コーヒーの感染リスク抑制作用が示唆されたのに対し、茶にはそうした作用を示すデータが得られなかった。その理由についてCornelis氏は、「カフェインの含有量の違いによるのではないか」との見方を示す。加えて「茶にはフラボノイドが豊富に含まれているのに対し、コーヒーにはクロロゲン酸が豊富に含まれている。このようなカフェイン以外の成分の相違が関係している可能性もある」としている。

また、野菜を積極的に摂取することはCOVID-19感染リスクの低減に有益であると見られるが、どの野菜がより有益なのかや、野菜に含まれるどの栄養素が効果的なのかは不明だ。

今回の報告を受けて、米ロマリンダ大学のKaren Studer氏は、「生活習慣を少し変えるだけでも健康に大きな影響がある。未加工の植物性食品を主体とする食事はさまざまな疾患から身を守ってくれる。このことは、COVID-19のような感染症にも当てはまるようだ。これは喜ばしいことだ」と述べている。

またStuder氏は、「小さな生活習慣の変容でも健康には大きな影響がある」と付け加えている。具体的な行動変容の例として同氏が挙げるのは、禁煙や禁酒、加糖飲料を飲むのをやめることなどだ。また、食事や栄養の面で生活習慣を変えるのが難しい場合には、睡眠の質の向上やストレスの管理など、ほかの生活習慣に目を向けると良いとしている。

(HealthDay News 2021年7月21日)
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