新型コロナをめぐるあれこれ - Part I ワクチンの効果は? もうマスクをとっていいの? O型はコロナにかかりにくいってホント?
ようやく新型コロナウイルス感染第5波は収束に向かい、飲食店への時短営業要請、酒類提供制限も解除され、年末に向けて世の中は再始動です。
また、皆さまのご協力のおかげで、目黒区の新型コロナワクチン接種は順調に進んでおります。
一方、気温が下がるこれからの、感染第6波の襲来やインフルエンザとの二重流行も懸念され、ワクチンの3回目接種も検討されております。
さて、気になるワクチンの効果の持続期間についてですが、カタールでのリアルワールド調査(実際の社会での調査)報告をご紹介いたします。
ファイザー製ワクチン、リアルワールドでの効果持続は NEJM(2021/10/06)より
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染または新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン効果の減衰が懸念されている。今回、PCR検査が大規模に実施されているカタールにおいて、Weill Cornell Medicine-QatarのHiam Chemaitelly氏らがBNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer/BioNTech製)の効果の持続性について検討した。その結果、感染に対する効果は2回目投与後のピークの後に急速な減衰がみられたが、入院や死亡抑制効果については、2回目投与後6ヵ月間は効果が持続していることが示唆された。
本研究は、ファイザー製ワクチンの初回および2回接種後のSARS-CoV-2感染およびCovid-19関連の入院と死亡に対するリアルワールドでの効果を評価した症例対照研究。2021年1月1日~9月5日にカタール居住者の全国的なデータベース(PCR検査、ワクチン接種、COVID-19関連の入院、流行開始以降の基本的な人口統計の情報などが含まれる)を用いて、症例(PCR陽性者)と対照(PCR陰性者)を性別、年齢層、国籍、PCR検査の理由、PCR検査実施暦週について、1対1でマッチさせた。ファイザー製ワクチンのSARS-CoV-2感染に対する効果と、COVID-19の重症(急性期入院)、重篤(集中治療室入院)、死亡の抑制効果を推定した。なお、カタールでは、2021年9月7日時点で12歳以上の9割以上が1回以上ワクチン接種を受け、8割以上が2回接種を受けていた。
主な結果は以下のとおり。
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感染に対する効果は、初回投与後2週間は非常に低かったが、初回投与後3週間で36.8%(95%信頼区間[CI]:33.2~40.2)に増加し、2回目投与後の最初の月に77.5%(95%CI:76.4~78.6)とピークに達した。その後は徐々に低下し、4ヵ月後に急減し、2回目投与後5〜7ヵ月は約20%であった。
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症候性感染および無症候性感染に対する効果の変化パターンは同様だったが、症候性感染のほうが無症候性感染より一貫して高かった。症候性感染に対する効果のピークは81.5%(95%CI:79.9~83.0)、無症候性感染に対する効果のピークは73.1%(95%CI:70.3~75.5)だった。
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変異株別、年齢層別にみても、効果の変化パターンは同様だった。
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COVID-19の重症、重篤、死亡の抑制効果は、初回投与後2週間は非常に低かったが、初回投与後3週間で66.1%(95%CI:56.8~73.5)に急激に上昇し、2回目投与後2ヵ月後には96%以上に達した。感染に対する効果とは異なり、ほぼ6ヵ月間持続した。
当院でも2回接種した方の感染は決して少なくありません。ワクチンは、感染予防ではなく、感染した場合の重症化予防のためのものであり、その効果も恒久的なものではありません。接種後も感染予防対策に手を抜かないようにお願いいたします。
というわけで、国立感染症研究所からの会食に関する注意喚起をご紹介します。
マスクなし会食、感染リスク4倍=大人数・長時間「まだ避けて」 感染研(2021/10/09)より
東京都内5カ所の発熱外来を6~7月に受診した成人753人を対象に、発症前2週間の行動について尋ねた。全員がコロナワクチンを1度も接種しておらず、うち257人(34.1%)がPCR検査で陽性だった。
会食を全くしなかった人の感染リスクを1として比較した結果、飲食物を口に入れる時以外マスク着用を続けた人のリスクは0.98倍でほぼ同じだった。一方、着席直後に取るか着けずに飲食した人は3.92倍に跳ね上がった。料理が運ばれた時点で外してもリスクは高まった。
飲食店での滞在が2時間以上に及ぶと、リスクは1.87倍となった。酒がない席への参加ならリスクはさほど高くないが、飲酒した場合は2.18倍に上がった。参加人数でみると、5人以上での会食は、5人未満に比べリスクが1.5倍に。一方、外食でも1人なら問題はなかった。
感染研の脇田隆字所長は、会食時は「少人数、2時間以内、マスク着用」で感染リスクを減らすよう求めている。
飲食店であろうと、家庭であろうと会食リスクは同じです。大切なのは食事の状況だと、私はおもいます。
おまけで、血液型O型の人は、感染リスク、重症化リスクとも低いという、東京医科歯科大学の藤田紘一郎教授の報告。
O型は新型コロナのリスクが低い?!
米国・ニューヨーク州の病院で、1万4000人あまりを調査したところ、O型は非O型に比べて新型コロナウイルスへの感染率が低いという結果でした。また、AB型は気管挿管が必要となる割合、死亡率ともに優位に高いことが示されています。また、Rhマイナスの人は、感染率、気管挿管になる割合、死亡率のいずれも、Rhプラスの人より低いという結果が出ています。
新型コロナウイルスが初めて見つかった中国の武漢でも、新型コロナウイルスに感染した患者の血液型を調べたところ同様の傾向が見られ、A型は感染リスクが高くO型は低いことが示されています。これらの結果は、年齢や基礎疾患などを考慮して解析しても、O型が比較的新型コロナウイルスに対するリスクは低い、という結果は変わりませんでした。
O型の人が新型コロナウイルス感染症のリスクが低い明確な理由はわかっていませんが、上気道の上皮細胞にはA抗原やB抗原を発現していることが多く、これがウイルスに対する親和性に関係しており、O型の人が持つ抗A型抗体、抗B型抗体がこれらの抗原に働いて感染しにくくしているのではないかと推測されています。
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