ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
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2022年01月号掲載
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新型コロナをめぐるあれこれ - Part III

ファイザー製ワクチン2回目後、90日から徐々に感染増加

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防におけるファイザー製ワクチン(21日間隔で2回接種)は、2回目接種から数ヵ月後にはウイルス感染の防止効果が低下し始め、2回目接種から90日以降はブレークスルー感染リスクが徐々に増加することが、イスラエル・Leumit Health ServicesのAriel Israel氏らの調査で明らかとなった。

イスラエルの後ろ向きのtest negative design研究

研究グループは、ファイザー製ワクチンの2回目接種後の経過期間とCOVID-19の罹患リスクとの関連を評価することを目的に、test negative designを用いた後ろ向き症例対照研究を行った。解析には、イスラエルの大規模な国立医療機関であるLeumitHealth Servicesの電子健康記録(electronic health records)が用いられた。対象は、年齢18歳以上、2021年5月15日~9月17日の期間に逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)による検査を受け、ワクチンの2回目接種後少なくとも3週間が経過し、3回目の接種は受けておらず、COVID-19の既往歴がない集団とされた。

解析では、2回目接種からRT-PCR検査までの期間が90日未満の集団を参照として、30日ごとに90~119日、120~149日、150~179日、180日以上の集団に分けた。また、全年齢層のほか、3つの年齢層(60歳以上、40~59歳、18~39歳)に分けて解析が行われた。

主な結果は、RT-PCR検査で検出された新型コロナウイルス感染とされた。新型コロナウイルス陽性例と対照(陰性例)を、検査を受けた週、年齢層、人口統計学的集団(超正統派ユダヤ教徒、アラブ系住民、一般人口)でマッチさせた。

ブレークスルー感染率:接種後90日未満1.3%から180日以上は15.5%に上昇

研究期間中に8万3,057例(平均年齢43.97歳、女性4万3,554例[52.4%])が新型コロナウイルス感染を検出するRT-PCR検査を受け、7,973例(9.6%)が陽性であった。2回目接種からRT-PCR検査までの期間中央値は164日であった。マッチング後のコホートは、陽性例が6,320例、陰性例は3万1,600例だった。マッチング前の集団における2回目接種後の経過期間(日数)中央値は、3つの年齢層のいずれにおいても、RT-PCR検査陽性例が陰性例よりも有意に長かった。すなわち、60歳以上では、陽性例が192日、陰性例は173日、40~59歳ではそれぞれ185日および166日、18~39歳では174日および164日であった。

マッチング前の集団における2回目接種後の陽性率(ブレークスルー感染の割合)は、接種後の経過期間が長くなるほど有意に高くなり、21~89日(参照集団)の1.3%に対し、90~119日が2.4%、120~149日が4.6%、150~179日が10.3%、180日以上は15.5%と、経時的に上昇した。また、2回目接種から180日以上が経過すると、3つの年齢層のすべてで陽性率が有意に上昇していた。

著者は、「これらの知見の解釈は、観察研究デザインの制約を受けるが、3回目のワクチン接種の検討が必要であることを示唆する」としている。

Israel A, et al. BMJ. 2021;375:e067873. より抜粋

ファイザー製ワクチン、ブースター接種で死亡リスク9割減

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のファイザー製ワクチンの2回接種から少なくとも5ヵ月後にブースター接種を受けた人は、ブースター接種を受けていない人と比較して、COVID-19による死亡リスクが90%低下した。イスラエル・Clalit Health ServicesのRonen Arbel氏らが、同国半数超の国民が加入する健康保険データを基に解析を行い報告した。デルタ変異株の出現と、ワクチンの経時的な有効性の低下により、早期にワクチンを接種した集団において再流行が発生したことから、イスラエルの保健省は2021年7月30日にファイザー製ワクチンの3回目接種(ブースター接種)を承認した。

ブースター群と非ブースター群の計84万例超でCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)死を比較

研究グループは、イスラエル国民の半数以上が加入している同国最大の医療保険組織「Clalit Health Services」のデータを用い、ブースター接種が承認された7日後の2021年8月6日時点で50歳以上であり、少なくとも5ヵ月前にファイザー製ワクチンの2回目の接種を受けた人を対象として、2021年9月29日までの間のブースター接種者(ブースター群)と非接種者(非ブースター群)のCOVID-19による死亡について検討した。試験終了日において、ブースター接種後7日までの人は、非ブースター群に含めた。

時間依存共変量を用いるCox比例ハザード回帰モデルにより社会人口統計学的要因と併存疾患を補正し、ブースター接種の有無と死亡との関連を解析した。解析対象は、適格基準を満たした84万3,208例であった。

ブースター接種で死亡リスクが90%低下

84万3,208例中75万8,118例(90%)が、54日間の試験期間中にブースター接種を受けた。COVID-19による死亡は、ブースター群で65例(0.16/10万人/日)、非ブースター群で137例(2.98/10万人/日)に認められた。非ブースター群に対するブースター群のCOVID-19による死亡の補正後ハザード比は、0.10(95%信頼区間[CI]:0.07~0.14、p<0.001)であった。

Arbel R, et al. N Engl J Med. 2021 Dec 8. [Epub ahead of print]
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