コロナワクチン3回接種者は感染しても他人にうつしにくい!?
韓国・ウルサン大学のJiwon Jung氏らは新型コロナワクチンの3回接種を終えた完全接種者(ブレークスルー感染群)と1~2回接種の部分的接種/未接種者(非ブレークスルー感染群)の新型コロナの他人へ感染を広げる(2次感染)割合やウイルス排出動態に関するコホート研究を実施した。その結果、 初期のゲノムウイルス量はワクチン接種者とワクチン未接種者の間で類似していたが、完全接種者では、部分的接種者/ワクチン未接種者よりも生存可能なウイルスの排出期間が短く、2次感染率が低いことが示された。
本研究は 2次感染率に関する試験とウイルス排出動態試を実施するために、2020年3月1日~2021年11月6日の期間に入院または3次医療機関への受診で新型コロナと診断された医療従事者、入院患者、および介護者の疫学データを分析した。そのために新型コロナウイルスのゲノムRNAをPCRで測定し、2021年7月20日~8月20日に韓国・ソウル市にある施設で分離されたデルタ変異株に感染した新型コロナ軽症例の唾液サンプルのウイルス培養を毎日行った。
主な結果は以下のとおり。
-
新型コロナ感染者173例(年齢中央値[IQR]:47歳 [32~59歳]、女性:100例[58%])が2次感染率の試験に含まれた。彼らに感染歴はなく、50例(29%)がブレークスルー感染だった。
-
院内での2次感染率は、ブレークスルー感染群のほうが非ブレークスルー感染群よりも有意に少なかった(43例中3例[7%]vs. 110例中29例[26%]、p=0.008)。
-
ウイルス排出動態試験では、デルタ変異体に感染した45例(年齢中央値:37歳[IQR:25~49歳]、女性14例[31%])が含まれ、そのうち6例(13%)は完全接種、 39例(87%)は部分的接種/未接種だった。
-
初期ゲノムウイルス量は2群間で同等だったものの、細胞培養での生存ウイルスは完全接種者(症状発症後4日間)のものと比較して、部分的接種者(同8日間)とワクチン未接種者(同10日間)のもので著しく長い期間検出された。
研究者らは「本研究データは、新型コロナワクチンでもブレークスルー感染の可能性があるにせよワクチン接種はウイルス蔓延を制御するのに非常に有用であるという重要な証拠を提供する」としている。