ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
〒152-003 目黒区碑文谷2丁目6-24
TEL.03‐5704‐0810
2022年10月号掲載
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野菜、果物、お酒、座位時間、歩き方、そして睡眠
健康のために、毎日の生活を見直しましょう

野菜・果物多く食べると死亡リスク低下、国内の大規模調査で初めて裏付け

野菜や果物を多く食べる人は、そうでない人と比べ、20年以内に死亡するリスクが7~8%低かったとの研究結果を国立がん研究センターと横浜市立大のチームがまとめた。ビタミンや食物繊維を豊富に含む野菜や果物の摂取は健康のために重要とされるが、国内の大規模調査で裏付けされたのは今回が初めてという。

研究は、全国11地域に住む40~69歳の男女約9万5000人が対象で、1995年か98年に食事に関するアンケートに協力してもらい、その後の約20年間を追跡した。調査期間中に約2万4000人が死亡した。

アンケート結果から参加者ごとに1日あたりの野菜と果物の摂取量を推計し、最も多いグループから、最も少ないグループまで五つに分けて死亡リスクを解析した。その結果、果物では摂取量が最も少ないグループより、最も多いグループでは8%低かった。野菜も同様に7%低かった。

ただし、野菜、果物ともに摂取量が多いほど、死亡リスクが下がるとの結果は得られなかった。

チームは解析結果を踏まえると、長生きするには野菜は1日300グラム以上、果物は140グラム以上の摂取が望ましいとしている。

報告をまとめた後藤 温 ・横浜市立大教授は「今回の結果は摂取量の目安を決めるための基礎的なデータとして活用してほしい」と話している。

読売新聞:2022年9月11日

飲酒量が増えるとがんリスクも上昇する

韓国の保険加入者データを用いた住民対象コホート研究で、飲酒量の変化がアルコール関連がん※、およびがん全体の発症率に及ぼす影響を検討。飲酒量を非飲酒(0g/日)、少量(15g/日未満)、中等量(15-29.9g/日)、または多量(30g/日以上)に分類し、さらに参加者の飲酒量の変化を評価した。主要評価項目は、アルコール関連がんの新規診断とした。

その結果、追跡期間中央値6.4年で、参加者451万3746例(平均53.6歳、男性51.5%)のがん発症率は1000人年当たり7.7だった。非飲酒から少量(補正ハザード比1.03、95%CI 1.00-1.06)、中等量(同1.10、1.02-1.18)、多量(同1.34、1.23-1.45)へと飲酒量が増加した群ではリスクが上昇した。多量飲酒を維持するグループと比較すると、多量から中等量(アルコール関連がん:同0.91、0.86-0.97、全がん:同0.96、0.92-0.99)または少量(アルコール関連がん:同0.92、0.86-0.98、全がん:同0.92、0.89-0.96)へと減少したグループではリスクが低下した。

※WHO(世界保健機関)の評価(2007年)では、飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房の癌の原因となるとされています。 Yoo JE, et al. Association Between Changes in Alcohol Consumption and Cancer Risk. JAMA Netw Open. 2022; 5: e2228544.

座る時間長い人は内臓脂肪多い~花王・弘前大研究

座っている時間が長い人ほど内臓脂肪が多いことが7日、花王(本社東京)と弘前大学のCOI(センター・オブ・イノベーション)研究推進機構の共同研究で分かった。また、歩き方の改善指導をした人たちには、内臓脂肪が減少する効果が見られた。

弘大が弘前市岩木地区で行っている岩木健康増進プロジェクト健診(岩木健診)に参加した20~88歳の758人のデータを利用。腹の断面図を測定すると、座ったり横になっている時間と、内臓脂肪の面積に相関関係が見られた。また、座ったり横になっている時間を30分減らして家事などの軽い活動に充てる生活を長期間続けていた場合、内臓脂肪面積は現状より平均2.4平方センチ少ないと推計されるという。

歩き方指導は25~74歳の173人に実施。「シート式圧力センサー」で歩き方を解析し(1)左右のバランスよく(2)かかとから足を着き、つま先で軽く蹴り出す(3)歩幅を10センチ広げる-などとアドバイスした。3カ月間で、内臓脂肪面積が平均5.5平方センチ減少したという。花王の担当者は「良い歩き方は疲れにくいので歩行距離が増え、歩く速さが上がった。転倒もしにくい」と話す。

研究論文は、日本健康教育学会誌や国際学術誌サイエンティフィックリポーツに発表した。

東奥日報:2022年09月09日

睡眠不足は人を利己的にする?

睡眠不足は人間の社会意識にも悪影響を及ぼし、他人を助けたいという欲求や意欲をなくさせることが新たな研究で明らかになった。米カリフォルニア大学バークレー校人間睡眠科学センターのMatthew Walker氏らが実施したこの研究結果は、「PLOSBiology」に8月23日掲載された。

Walker氏らは今回、3つの試験により、睡眠不足が人々の他人を助けたいという意欲に及ぼす影響を調べた。

1つ目の試験では、24人の健康な参加者を対象に、8時間の睡眠を取った後と一晩徹夜した後の脳を機能的MRI(fMRI)でスキャンして調べた。その結果、人が他人に共感したり、他人の欲求やニーズを理解しようとするときに関与する、「心の理論」ネットワークを形成する脳の領域の活動が、徹夜した後では低下することが示された。

2つ目の試験では、136人の参加者を対象に、4日間の睡眠の様子をオンラインで追跡し、睡眠の質(睡眠時間、中途覚醒の回数など)を調べた。その上で、例えば、「他の人のためにエレベーターのドアを手で押さえておく」「通りで怪我をした見知らぬ人を助ける」などの他人を助ける行為に対する意欲に関する質問への回答を評価した。その結果、睡眠の質が低下した翌日には誰かを助けたいという気持ちも有意に低下することが明らかになった。

3つ目の試験では、2001年から2016年の間に行われた慈善寄付300万件以上のデータを用いて、サマータイムの開始により1時間の睡眠不足が生じた後の寄付額の変化について調べた。その結果、サマータイム開始後に寄付額が約10%低下していたことが判明した。この寄付額の変化は、サマータイム制を導入していない地域では認められなかった。

Walker氏は、「広い視野に立つと、睡眠不足の人は非常に非社会的で、扶助観点からは反社会的な個人になり、社会的な生活を営む動物であるヒトの共同生活にさまざまな影響を与えることが明らかになりつつある」と話す。なお、先進国では、半数以上の人が十分な睡眠を取っていないことが報告されている。

HealthDay News: 2022年8月24日

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